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株価の算定方法について
経営推進部・IPO準備室の町田です。今回は、非上場会社の株価算定の方法について紹介したいと思います。
1はじめに
証券取引所に上場している株式会社の場合、株式は、常に売りに出されて取引が行われているため、株式の時価を算定することは容易です。
しかし、上場していない株式会社の株式は、頻繁に売買されているわけではありませんので、財務諸表や事業計画等をもとに個別に算定する必要があります。
今回は、非上場株式の株価算定の基本的な考え方について紹介したいと思います。
2 非上場株式の株価算定方法
非上場株式の株価算定方法には、大きく分けると次の3つの方法があります。
①純資産をベースとする評価手法(コスト・アプローチ)
この方法は、直近の貸借対照表をもとに算定する方法であり、最も簡便な手法といえます。
会社の総資産から負債(借入金)を差し引いたものを純資産といいます。純資産を発行済みの株式数で割ることで、1株当たりの時価を算定します。
例えば、総資産1000万円、負債(借入金)500万円の会社の場合には、純資産は500万円となります。発行している株式の数が1000株であるとき、500万円÷1000により、1株5,000円となります。
上記方法は、すでに成長期を過ぎて安定期に入った企業に対しては有効な評価ということができます。
しかし、成長期にある企業の場合には、借り入れを増やしながら、事業規模を発展させている段階であるため、純資産が少なく、株価が低く評価されやすくなるという欠点があります。
②収益力をベースとする評価方法(インカム・アプローチ)
この方法は、会社の将来の収益力をもとに算定する方法です。(代表的な算定方法:DCF法)
まず過去の成長率や事業計画などから、5~10年後の成長率を設定し、営業利益を推定します。
営業利益に、法人税や減価償却などを調整し、将来獲得できるキャッシュ(フリーキャッシュフロー)を推定します。
そして、将来獲得できるキャッシュを現在価値に割り引きます。
現在価値に割り引くとは、どういうことでしょうか。これを理解するには、金利を理解する必要があります。
ビジネス社会では、無償で金銭を貸し借りするということはありません。必ず借り手は利息を支払う必要があります。
例えば、1000万円を利息5%(単利)で5年間借りる場合を考えてみます。
この場合、借り手は、5年後に、1250万円を支払う必要があります。
逆にみると、貸し手は1000万円をだすことで5年後に1250万円を受け取る権利をもっていることになります。
貸し手が、1年後に第三者にこの債権(1250万円を受け取る権利)を売却したいと考えた場合、いくらで売却するのが合理的でしょうか。
貸してから1年しか経過していませんので、理論的には、1050万円となります。利息とは、時間の経過に対する付加価値であるため、時間の経過前にその価値が実現することはありません。そこで、残りの4年分の利息は実現していないと考えます。
このように将来受け取ることができるキャッシュというのは、実現していない利息部分が含まれているため、これを差し引く必要があります。
上記を踏まえ、企業が将来獲得できるキャッシュ(フリーキャッシュフロー)を現在価値に割り引くと次のような計算となります。
例 成長率10%の企業の場合(割引率5%/発行済み株式総数1000株)
1年後に獲得できるキャッシュ500万円→500万円÷1.05=476万円(現在価値)
2年後に獲得できるキャッシュ550万円→550万円÷1.05²=498万円(現在価値)
3年後に獲得できるキャッシュ600万円→600万円÷1.05³=518万円(現在価値)
4年後に獲得できるキャッシュ650万円→650万円÷1.05⁴=534万円(現在価値)
5年後に獲得できるキャッシュ700万円→700万円÷1.05⁵=522万円(現在価値)
6年目以降に獲得できるキャッシュ(※永続的に存在すると仮定した場合の残存価値)
1億7500万円→1億7500万円÷1.05⁵=1億3000万円(現在価値)
将来獲得できるキャッシュの現在価値合計は、1億5500万円となります。これを発行済み株式数で割ると1株当たりの株価を算定することができます。
1億5500万円÷1000株=15万5480円/1株当たり株価
③市場価格をベースとする評価方法(マーケット・アプローチ)
非上場会社の場合であっても、上場している類似企業の株価をもとに算定する方法があります。(類似会社比較法)
株式市場に参加する投資家は、類似する業種や業績の企業に対しては、同一の評価を行うはずであるという仮定を基礎とします。
まずは、類似する企業を3~5つほど選定し、財務諸表等のデータからPER(株価収益率)や売上高と時価の比率などを参考にして、非上場会社の株式を算定します。
3 まとめ
以上、今回は、説明を省略した箇所や簡略化した箇所もありますが、非上場株式の株価算定方法について紹介しました。実務では、企業の特性に応じて、上記3つのアプローチを併用することも一般的です。
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