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2023/02/01

買収防衛策について

法務担当・IPO準備室の町田です。今回は、敵対的買収に対する防衛策について紹介したいと思います。

1 買収防衛策の意義

買収防衛策とは、経営陣にとって好ましくない者による株式の取得を阻止する方策を意味します。

本来、上場された株式は、誰でも取得することが可能です。そのため、株式を上場した企業は、誰が自社の株式を取得したとしても文句をいうことはできません。

しかし、濫用的買収者といわれる者が株主になることにより、企業の長期的価値を低下させることがあります。

濫用的買収者とは、

・株価をつり上げて高値で経営陣に売却する目的で取得する者(グリーンメーラー)

会社経営を一時的に支配して当該会社の事業経営上必要な知的財産権等の機密情報を競合企業に売却して一時的に利益を出し高配当を得るなどの目的で取得する者

などを意味します。

いずれも共通するのは、株式の取得・売却を通じて短期的かつ利己的な利益を優先し、企業の長期的な発展を阻害する目的を有している点にあります。

企業が現代社会においてこれほどに社会に受け入れられているのは、企業自身が長期的な発展をすることで市民社会に利益を生み出しているからです。

そのため、濫用的買収者による株式の取得は、社会に対しても有害といえます。

このことから、一定の買収防衛策を講じることが法律上許容されています。

2 主な買収防衛策

買収防衛策には、以下のような様々な手法があります。

ライツプラン・ポイズンピル

予め定めた条件を満たした場合に、時価より安い価格で新株を購入できる権利を、既存の株主に付与しておく手法です。

この結果、敵対的な買収を企図した投資家などの持株比率が低下するとともに、株式数の増加に伴う株価低下が買収者に不利に働くため、買収を予防するものと期待されます。

別名、ポイズンピル(毒薬条項)とよばれます。

ホワイト・ナイト

企業側が選んだ第三者に、敵対的な買収者よりも有利な条件で買収してもらうという方法です。

ただし、このような第三者が現れるかどうかは事前に予測困難なため、現実的な防衛策としては充分なものとはいえないケースが多いでしょう。

スコーチド・アース(焦土作戦)

自ら会社や資産を売却したり、あえて多額の負債を負ったりすることで企業価値を下げ、買収側の意欲をそぐ手法です。

ゴールデンパラシュート

予め取締役と退職金契約を高額にしておく手法です。買収後の出費が多くなるため、買収側の買収への意欲が下がる効果が見込まれます。

プット・オプション

プット・オプションとは、ある株式をある期日までに、その時の市場価格に関係なく、予め決められた特定の価格(=権利行使価格)で売ることができる権利を指します。

3 まとめ

具体的な買収防衛策には、上記のように様々な手法がありますが、すべてが適法ということではありません。

適法かどうかは、過去の裁判事例などを踏まえ、具体的な敵対的買収の方法や経緯などにより、最終的には裁判所による判断にゆだねられています。

買収防衛策には、以下のような問題点も存在しています。

①企業の発展・株主の利益に反し、経営陣の保身に利用される可能性

②過剰な防衛により、一般株主の経済的利益や権利が大きく損なわれる可能性など

買収防衛策を講じる場合には、買収による具体的なリスクを特定し、リスクを低減させるためにどの程度の対策が必要なのかを認識して講じることになります。

今回は、買収防衛策の意義と具体的な手法について紹介しました。

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