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【2025クマ被害】小泉防衛大臣、ゴジラ討伐級の自衛隊投入も駆除はできない?効果てきめんのゾーニングとは?
全国各地で熊の出没が相次ぎ、人々の暮らしに深刻な不安が広がっています。かつては山間部だけの問題と思われていた熊の被害は、今や私たちの日常を脅かす存在となりました。子どもの通学路や幼稚園の近く、さらには東京や埼玉といった首都圏でも出没が報告されるなど、これはもはや特定の地域の問題ではなく、日本全体が直面する2025年の国難と言える状況です。
この異常事態に対し、先日、小泉進次郎防衛大臣がひとつの決断を下しました。熊被害が深刻な秋田県知事からの要請を受け、熊対策のために自衛隊を投入するという、前例のない一歩を踏み出したのです。このニュースは多くの人々に衝撃と、そして一縷(いちる)の望みを与えました(※①)。
しかし、この自衛隊投入には、一般にはあまり知られていない事実が隠されています。今回は、この歴史的な決定の裏側にある「知っておくべき3つの事実」を解説していきます。
1. 事実1:異例のスピードと「陸将補」投入が示す作戦規模
今回の政府の対応でまず驚かされるのは、その異例のスピードです。秋田県知事からの要請があったまさにその日の午後に、小泉防衛大臣は連絡員の派遣を指示しました。この迅速な行動は、政府がこの熊被害をいかに深刻な国家的危機(国難)と捉えているかを物語っています。
そして、さらに驚くべきは、派遣された連絡員の階級です。現地に赴いたのは、陸上自衛隊第9師団の副師団長。その階級は「陸将補(Major General)」という、非常に高い地位の幹部です。通常、連絡員としてこれほどの高官が派遣されることはありません。この人選は、今回の作戦が最大で6,000人から9,000人規模の部隊動員に発展する可能性を視野に入れたものであることを示唆しています(※①)。
このスケールの大きさに、SNSなどでは驚きの声が上がりました。
「陸将補が連絡員やるって、いったいどれだけの規模で人員を動かす気なんだ」
「陸将補が連絡員て…ゴジラ討伐かな?」

小泉防衛大臣@shinjirokoiz X(旧Twitter)10月28日ポストより
一部では映画『シン・ゴジラ』の巨大不明生物特設災害対策本部(巨災対)を彷彿とさせるとの声もありましたが、この冷静かつ頼もしい対応は多くの国民から高く評価されています。日々の熊のニュースに怯える一人として、この国の本気度が伝わる決断は、大きな安心材料であり、率直に言って心から感謝したい思いです。
2. 事実2:自衛隊の任務は「熊の駆除」ではない、非現実的な理由
自衛隊が投入されると聞いて、多くの人が「自衛隊員が銃で熊を駆除してくれる」と想像したかもしれません。しかし、ここが2つ目の驚きの事実です。秋田県の鈴木知事(元自衛隊員)自身もSNSで明かしている通り、現在の法令では、自衛隊が直接、熊を狩猟・駆除することは許可されていません(※②)。
彼らの任務は、連日の対応で疲弊しきっている地元の猟友会への後方支援です。具体的に許可されている活動は、駆除された熊の死骸を解体し、指定された場所まで運搬すること。つまり、自衛隊は最前線で引き金を引くのではなく、猟友会の方々が本来の駆除活動に専念できるよう、体力的・精神的に負担の大きい作業を肩代わりする役割を担うのです。
クマ駆除が「非現実的」な専門的理由
鈴木知事は「銃や訓練の性質からもクマの駆除は難しい」と投稿し、専門家であるハンターも自衛隊によるクマ駆除は極めて非現実的だと説明しています(※②)。その理由は、装備と技術の両面にあると断言されています。

北海道猟友会の隊長も、「いくら自衛隊員とはいえ、いきなり猟銃を撃ったのでは、当たらないと思いますよ」と語っています。一撃でバイタルポイントを撃ち抜く技術と、その地域の地形やクマの動きを把握する経験がなければ、却って手負いのクマを市街地に逃がす危険が高まるためです。
先日、警察官のライフル所持と熊駆除を許可する方向で訓練や規則改正が進んでいるとの報道がありましたが(※③)、警察官も同様に猟友会と緊密な連携と、そして地元の山の地形を数年かけて習得しなければ、いくらライフルを手にして山に入っても駆除には至れないということです。
この事実は非常に重要です。自衛隊員は熊が多数出没する危険な地域で活動するにもかかわらず、自身の身を守るための武器使用が原則として認められていません。丸腰で熊と対峙する状況が生まれないよう、法整備や安全対策の徹底が今後の大きな課題となるでしょう。
3. 事実3:真の課題は「人と熊の境界線」の崩壊と「ゾーニング」への期待
自衛隊の手が法律で縛られ、さらに技術的にも駆除が非現実的であるという事実は、より深い問題を浮き彫りにします。今回の派遣は必要不可欠な緊急措置ですが、それはあくまで一時的な対処療法に過ぎません。真の課題は、私たちの社会が直面する「人と熊の境界線」そのものの崩壊にあるのです。
長年、この境界線を守ってきたのは地元の猟友会の方々でした。しかし、彼らの高齢化と後継者不足、そして熊出没時の時給1500円というあまりに低い報酬額が、活動を困難にしています(※④)。このような学生のアルバイト並みの待遇で命の危険を伴う駆除活動を担い続けるのは酷な話です。さらに、地方の過疎化は、かつて人が暮らしていた里山や田畑を再び野生へと還し、山と人里の境界線を曖昧にしてしまいました。その結果、駆除されなくなった熊は繁殖して増え続け、山の餌争いに負けた一部の熊が人里に出没するようになり、さらには人間を食料として認識する個体まで出てきたというわけです。
私の子どもも、熊が駆除されるニュースを聞くたびに「お腹が空いていただけなのに、殺されちゃうのはかわいそうだね」と呟きます。その純粋な気持ちには私も共感しますが、しかし、増えすぎた熊と、曖昧になった境界線が引き起こすこの負の連鎖は、どこかで断ち切らなければなりません。近年急激に増えた「人を襲って捕食するツキノワグマ」。こうした人の味を覚えた熊のDNAは綿々と受け継がれて、いずれまた必ず人を襲います。
熊も人も、血を見ない平和的な方法で住みわけができることが一番良いのですが…。
注目を集める長野県箕輪町の「ゾーニング」対策
この「境界線の曖昧化」という課題に対し、具体的な成果を上げている自治体の取り組みがあります。それが、私の住む長野県内にある箕輪町(みのわまち)で講じられた「ゾーニング」と呼ばれる対策です。
箕輪町では、例年クマの目撃情報が多かったのにもかかわらず、この対策によって出没件数が半減(2024年の19件から9件へ)しました(※⑤)。
■目的の明確化: 山側のクマの生息域と、人が生活する地域を明確に分ける。
■実行された対策: 2つのエリアの間にある、クマが通常身を隠せる草むらを徹底的に刈り取る。
■狙い: ツキノワグマは基本的に臆病であり、人の姿が見える開けた場所を嫌います。そのため、草刈りによって緩衝帯(バッファゾーン)を設けることで、人とクマがお互いにびっくりして接触する事故を未然に防ぐことを狙いとした。
自衛隊の力は一時的なものですが、この熊の駆除が許可されていない自衛隊の大規模な人員と機動力は、この箕輪町のようなゾーニング対処を全国的に、大規模に展開するためにこそ、最も有効活用できるのではないでしょうか。
本当の解決には、草刈りを徹底して山と人里の境界を明確にしたり、熊の餌となるドングリの木を山奥に植えたり、そして何より適切な駆除のために猟友会の担い手を増やす取り組みなど、多角的で長期的な視点が必要不可欠です。

平和的な「住みわけ」の実現へ
小泉防衛大臣による自衛隊投入の決断は、その異例のスピードと規模感から、政府が熊被害を国家レベルの危機と認識していることを明確に示しました。この迅速な対応には心から感謝しています。
しかし、その役割は直接的な駆除ではなく、あくまで猟友会の後方支援に限定されており、駆除は装備と技術の面で極めて非現実的です。
この派遣は、被害に苦しむ秋田県をはじめとする地域の方々にとって、一時の安堵と希望をもたらすことは間違いありません。ですが、これはあくまで対症療法です。熊が冬眠に入るまでのおよそ一ヶ月間という正念場を乗り切るための緊急措置をきっかけに、私たちは日本の未来における「人と野生動物の共存」のあり方を真剣に考え直す時期に来ています。
駆除が許されていない自衛隊だからこそ、その圧倒的な人員と機材をもって、長野県箕輪町が成功させたような人里と山を分けるゾーニング対処を全国で大規模に行うことが、最も理想的な解決策ではないでしょうか。
熊も人もなるべく被害にあうことなく、平和的な方法で住みわけができる社会を築くために、私たちには長期的なビジョンと、粘り強い対策の実行力が求められています。
参考・引用元
本ブログ記事は下記の参考元を参照、引用し、執筆者の見解を加えて執筆しています。
(※①)小泉進次郎 @shinjirokoiz 10月28日Xポスト
(※②)Yahoo!ジャパンニュース クマ問題 自衛隊が「銃でクマ駆除」は「非現実的」「たぶん当たらない」 ハンターが切実に願う「後方支援」とは
(※③)JIJI.COM 機動隊ライフル銃でクマ駆除検討 訓練や規則改正、実施には課題も―被害深刻、急ピッチで準備・警察庁
(※④)Yahoo!ジャパンニュース 1500円「この時給で命張れって言われても…」 ハンターがX投稿で訴え、クマ駆除に必要な報酬とは
(※⑤)Yahoo!ジャパンニュース「ぶつかることないように」クマ出没半減の町…対策はゾーニング クマ生息域と人の生活圏を分け草刈り 長野・箕輪町
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