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【トリプル台風発生】日本近海の海水温急上昇で今後も台風が頻発の理由とは

9月17日にフィリピン付近とフィリピンの東海上で同時に熱帯低気圧が発生し、トリプル台風となる可能性のある台風予想が発表され、9月18日(木)は日本列島は猛暑と大雨が同居する不安定な天候に見舞われる予想とのことです。(※1)。これらの台風は直接日本に上陸しなくても、秋雨前線を刺激して大雨をもたらすおそれがあり、その動向に注目が集まっています。
皆さんが気になる今後の台風の進路。特に大雨が予想される地域の農家さん達は、今頃は暴風対策に奔走しているかと思います。まだまだ台風発生に気の抜けない9月真っ只中。今回は台風について、近年の日本を取り巻く環境の変化とともに深堀っていきたいと思います。
日本のすぐ近くで台風が発生するようになった?
台風は熱帯低気圧が発達してできるものです。一般的には、日本から遠く離れた南の海上で発生し、偏西風に乗って日本に近づいてくるイメージが強いのではないでしょうか。しかし、最近はまるで「奇襲」のように、日本のすぐ近くで発生し、あっという間に上陸するケースが増えてきています。
2025年8月に発生した台風12号がその一つです。鹿児島県薩摩川内市のすぐ西の海上で発生し、あっという間に九州に上陸しました(※2)。なぜこのようなことが起きるのでしょうか。その大きな原因の一つが、海水温の上昇です。
台風は海からの水蒸気をエネルギー源として発達します。海水が温かいほど、たくさんの水蒸気が発生し、それが上昇気流を生み、さらに雨雲を成長させて台風を強大化させるという仕組みです。つまり、海水温が高いほど、台風が発生しやすくなるだけでなく、勢力も維持しやすくなるというわけです。
この背景には、地球温暖化の影響があると言われています。日本近海の海面水温は、世界の海に比べて2倍以上の速さで温暖化が進行しており、「海洋熱波」と呼ばれる現象も頻発しているそうです。「海洋熱波」とは、海面水温が平年より極端に高い状態が続く現象のことです。2024年夏には、日本近海の海水温が平年より3度から4度も高い場所もあったといい、亜熱帯並みの水温が台風を急激に発達させる環境を作っているようです(※3)。
さらに、偏西風が例年よりも北に移動していることも関係しているという意見もあります。通常、偏西風は台風の発達を妨げる要因となるのですが、これが北上することで、日本付近でも台風の発生や発達に適した環境が広がっているとのことです(※4)。
勢力の弱い台風でも油断できない理由
「台風の中心気圧はそれほど低くないから大丈夫だろう」と油断してはいけない時代になってきました。台風の勢力と、その台風がもたらす雨の量は必ずしも比例しないからです。
2022年の台風15号は、中心気圧が1000ヘクトパスカルほどと、台風本体の勢力としてはそれほど強くありませんでしたが、接近した静岡県では線状降水帯が発生し、記録的な大雨となりました。静岡市では24時間で400mmを超える雨量を観測し、平年の9月の1か月分の雨量の1.5倍近くが短時間で降ったそうです(※4)。
これは、台風の東側に存在する「大気の川」と呼ばれる、大量の水蒸気を含む流れが影響していると考えられています。この「大気の川」が陸地に流れ込むと、台風の中心から離れた地域でも線状降水帯が発生し、非常に激しい雨が降るおそれがあるとのことです。
台風の勢力だけでなく、こうした気象現象にも注意が必要だと、改めて心構えをしなければならないと感じます。
海水温の上昇が日本の農業に与える影響
このような気候変動は、私たちの暮らし、特に農業にも大きな影響を与えています。
1. 台風による甚大な被害
日本のすぐ近くで発生・発達する台風は、農家さんにとって時間的な余裕がないため、十分な対策を取るのが難しくなります。さらに、勢力を保ったまま上陸したり、動きが遅くなったりすることで、大雨や暴風、洪水、土砂災害が長引き、農作物や農業施設に深刻な被害をもたらします。
唐沢農機サービスがある長野県でも、2019年の台風19号では千曲川の増水によって県内各地で橋が崩落・流失し、収穫前のリンゴなどの果樹が千曲川の堤防決壊によって水没するなど大きな被害が発生し、長野県内全体の農業被害額は87億円にのぼりました(※5)。
2. 農作物の生育環境の変化
海水温の上昇は、台風だけでなく、農作物の生育そのものにも影響を与えます。近年、猛暑日が続くようになり、野菜が高温障害を起こしたり、果物が日焼けしてしまったりといった被害が増えています。また、これまで特定の地域でしか栽培できなかった作物が、より北の地域でも育つようになるなど、農作物の適地が変わってきているという話も聞きます。
たとえば、北海道では、これまで獲れなかった温暖な海域に生息するブリが獲れるようになったり、逆に函館の夏の風物詩であるスルメイカの漁獲量が激減したりといった変化が起きているそうです(※3)。これは海の話ですが、陸地の農業においても、気候変動がもたらす影響は計り知れません。

最後に
唐沢農機サービスがある長野県でも、2019年の台風19号で千曲川が氾濫したことは、まだ記憶に新しい出来事です。収穫直前の作物が流され、農機具が水没したという話を聞くたびに、自然災害の恐ろしさと、それに向き合う農家さんの大変さを改めて感じます。
気候変動によって、私たちの暮らしは大きく変わりつつあり、日本の農業もまた、新たな課題に直面しています。過去の事例や最新の科学的知見から学ぶことで、私たち一人ひとりの防災意識を高め、自然と向き合う心構えを養うことが大切です。まだまだ台風が発生しやすい時期であり、今後も気象情報に注意が必要です。それぞれの立場でできることを考えながら、この不安定な時代を乗り越えていきたいものです。今回のブログが、気候変動と農業について考えるきっかけとなれば幸いです。
出典
(※1) 【トリプル台風情報】3つも“台風のたまご”=熱帯低気圧が… すべて19日には『新たな台風』になるか うち1つは日本方面に向かう進路… 今後の進路・勢力は?【雨風シミュレーション・気象庁最新情報】 Yahoo!ニュース, 2025年9月17日
(※2) 三井良浩「【解説】台風12号なぜ日本のすぐ近くで発生? 海面水温の急上昇が一因か」 FNNプライムオンライン, 2025年8月21日
(※3) NHK「“海の温暖化” 海洋熱波 いったい何が起きている?影響は?」 NHK防災, 2024年11月29日
(※4) NHK「【Q&A】なぜ日本付近で台風発生が相次ぐのか」 NHKニュース, 2025年9月4日
(※5)日本経済新聞「台風19号、長野県内農業被害87億円 リンゴなど深刻」2019年10月18日
最後までお読みいただきありがとうございました。
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