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2025/06/30

【水不足】観測史上最速の梅雨明け──いま、農業が直面する異常気象と自然の摂理

2025年6月、日本列島にかつてない異変が起きました。

6月17日、天気図から梅雨前線が完全に消滅。これは発生確率わずか1%とされる、気象の常識を覆す出来事でした。そして、そのわずか10日後の6月27日には、九州・中国・四国・近畿の広範囲で「観測史上最速の梅雨明け」が発表されました。

この“空梅雨”と異例の高温によって、全国各地の農業、特に水稲栽培に大きな影響が出始めています。加えて、近年顕著になりつつある梅雨の短縮傾向や過去の豪雨災害、そして自然の恵みとしての台風までを視野に入れた時、私たちは今、気候と農のつながりをどう見つめるべきか、改めて問い直す必要があるのではないでしょうか。

まず注目すべきは、6月17日の天気図における“梅雨前線の消失”です。過去10年間、6月中旬の天気図を調べたところ、梅雨前線が見られなかったのはわずか1日だけでした。これはつまり、6月中旬に梅雨前線が完全に消える確率は、たったの1%しかないということになります。

出典:異例 6月中に梅雨前線が消滅へ、わずか1%の確率』(2025年6月17日)

この日、日本各地は真夏を思わせる厳しい暑さに包まれ、甲府では38.2℃、東京都心でも34.8℃を記録。気象庁の統計によると、この日35℃以上の猛暑日を記録した地点は65地点と、2010年以降で6月中旬としては最多となりました。 その後、太平洋高気圧の勢力が一段と強まり、結果として6月27日には「観測史上最も早い梅雨明け」が広範囲で発表されました。梅雨期間は短く、降水量も例年の50%以下にとどまり、事実上“梅雨がなかった”と言っても過言ではない状況です。

この異常な空梅雨と高温傾向の中、最も影響を受けるのが農業です。 特に稲作農家にとっては、6月〜8月の水の確保が収量と品質を大きく左右します。通常、出穂から登熟にかけては十分な水が必要ですが、今年は、この期間にまとまった雨が見込めない可能性が高く、深刻な水不足のリスクが高まっています。

さらに問題なのが「高温障害」です。稲は登熟期に35℃以上の高温にさらされると、内部が白く濁る「白未熟粒」が発生しやすくなります。この白未熟粒は品質を大きく下げ、市場に出せないケースも多く、農家にとっては収量減と並ぶ二重の打撃となります。

野菜や果樹も例外ではありません。過去の事例を見ても、2022年には栃木県宇都宮のナシ農家で、夏場に見られるはずの「葉焼け」や「ダニ被害」が6月から発生するという異常が報告されました。

出典:「経験ない事態」農家悲鳴 猛暑連日、生育や収量に危機感 栃木県内』(2022年6月30日)

同様に、キュウリやトマトなどの露地野菜が“日焼け”を起こすと、見た目や味に大きな影響が出て、販売にも支障を来します。

2025年の記録的な早期梅雨明けは、突発的な異常ではなく、実は数年前から兆候が見られていました。今年2025年と同様、2022年にもすでに平年より3週間も早い6月27日に「史上最短の梅雨明け」が観測されていました。今年はまだ梅雨明けは西日本だけに留まっているのに対し、2022年は6月27日に関東も完全に梅雨明けしており、異例の短さだったことがうかがえます。

出典:関東甲信、東海、九州南部が梅雨明け 各地で史上最短の梅雨に』(2022年6月27日)

空梅雨や猛暑とは対照的に、過去数年には記録的な豪雨が発生しています。これは日本だけの話ではなく、ここ数年の夏時期には世界中で同様に極端な気象変動が起き、河川の氾濫や農地の冠水、道路や物流の麻痺といった甚大な被害が出ました。 たとえば、2022年には韓国で80年ぶりの記録的豪雨が発生。これは異例の2回目の梅雨として、国内の交通機関に甚大な被害を出しました。

出典:韓国、今年2回目の梅雨でソウル300ミリの水爆弾…中部地方は80年ぶりとなる最悪の大雨

その他、日本国内、そして世界各国で夏時期に豪雨による被害が多発しています。

出典:秋田県で記録的豪雨 24時間雨量が208ミリ、県内6河川が氾濫』(2023年7月15日)

出典:豪雨による洪水でドイツとイタリアが壊滅』(2024年6月2日)

出典:サウジアラビアのメッカで大雨が大混乱を引き起こし、ジャザンの洪水による死者数は7人に増加』(2024年8月8日)

出典:ナイジェリアの数週間にわたる洪水で170人が死亡』(2024年8月27日)

このような気象は、もはや“異常”ではなく、”当たり前”になりつつあるのかもしれません。

水不足が深刻化する中で、しばしば「恵みの雨」として期待されるのが台風です。 たとえば2022年、渇水状態に陥っていた高知県早明浦ダムが、接近した台風の雨によって一気に貯水率を回復し、枯渇を免れた事例がありました。

出典:四国は総雨量500㎜超の大雨 早明浦ダムの貯水率は急回復』(2022年7月5日)

これは、台風がもたらす降水が適切なタイミング・量であれば、農業や生活にとって大きな救いとなり得ることを示しています。

しかし当然ながら、台風にはもう一つの顔があります。収穫を目前にした農作物への被害です。 2024年8月には台風5号が発生し、日本の米作地帯を直撃。お盆の三連休に東北地方を直撃し、住民や農家への影響が懸念されました。

出典:お盆に台風相次ぐ 台風5号は東北を横断中 台風7号も発生か 東日本に接近の恐れ』(2024年8月12日)

また同年8月28日には、台風10号が九州地方を直撃し、農業施設・ビニールハウスの倒壊や作物の塩害など甚大な被害がおきました。

出典:農業にも甚大な被害 台風10号』(2024年8月30日)

このように、台風は“諸刃の剣”です。災害の引き金になり得る一方で、適度な降水をもたらすという意味では、渇水対策としての「自然の調整弁」とも言える存在です。

2025年の日本は、6月中に梅雨前線が消滅するという“1%の異常事態”から始まり、“史上最速の梅雨明け”に至る、かつてない気象の展開を経験しています。空梅雨と猛暑は農業に深刻な影響を与え、今後さらに影響が広がることが懸念される中、私たちは最先端科学の人工降雨や、昨今の異常気象によるゲリラ豪雨などで事態の打開を期待してしまいがちです。

しかし、こうした自然の流れに抗うのではなく、むしろ「自然が本来持つリズムに戻ってほしい」と願うのが、人としての正直な心情ではないでしょうか。 火はぬくもりを、水は潤いを、風は涼をもたらし、折々の季節を運ぶ存在。それぞれが“過不足なく”めぐることで、私たちの暮らしは守られ、食卓に豊かさがもたらされるのです。 今年の梅雨明けの早さに水不足の懸念が高まる中、もしこれから、適度な雨をもたらす“恵みの台風”がやってきてくれるなら、それは自然のバランスがまだ保たれている証なのかもしれません。

私たちは今、農業の現場を通じて、気候変動の“いま”を目の当たりにしています。 この夏、田んぼに水を送り、稲穂を照らす太陽が、どうか過剰でも過小でもない、“ちょうど良い自然の恵み”でありますように。そしてそのリズムが、来年以降の農業と、私たちの暮らしを守ってくれることを願ってやみません。

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