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2026/01/08

アメリカがベネズエラを「経営」?ベネズエラの”こってり石油”を巡る米中ロの地政学的な思惑と、日本への余波

2026年1月。世界中を駆け巡ったニュースは、これまでの国際外交の枠組みに一石を投じるものでした。アメリカのトランプ大統領が、混乱の続く南米ベネズエラに対し、「政権移行が完了するまで、アメリカがベネズエラを『運営(Run)』する」という方針を表明したのです。

この「運営」という言葉には、これまでの国際外交における「支援」や「介入」といった言葉とは異なる性質が含まれています。これは、主権国家の直面する課題を一つの「経営課題」のように捉え、実務的な管理を通じて再建を図るという、実業家出身の大統領らしい外交アプローチの一環と分析されます。

なぜ、世界一の石油埋蔵量を誇るはずのベネズエラが、このような極めて異例の状況を迎え、アメリカによる「経営再建」とも言える事態に至っているのか。その背景には、地政学的な対立だけでなく、石油の性質と資本の論理に裏打ちされた「現実」が隠されています。

1. ベネズエラ石油の課題――「黄金」ではなく「ドロドロの原油」という現実

ベネズエラという国を考察する上で欠かせないのが、オリノコ川流域に広がる巨大な油田地帯「オリノコ・ベルト」です。ここには約3,000億バレルという、サウジアラビアをもしのぐ正真正銘世界一の石油が眠っています。数字だけを見れば、この国は豊かな資源国としてのポテンシャルを十分に持っています。

しかし、現実は「資源の呪い」とも言える複雑な事情を抱えています。その最大の理由は、ベネズエラの地下に眠っているものが、私たちが想像するサラサラとした「液体黄金」ではないからです。

■ アスファルト状の「超重質油」という難問

ベネズエラ産原油の大部分は、専門用語で「超重質油(Extra Heavy Crude)」と呼ばれます。これは常温では固体に近い、いわば「アスファルト」や「タール」のようなドロドロとした物質です。 想像してみてください。ストローで水を吸うのは簡単ですが、冷えて固まった水あめを吸い上げることは容易ではありません。ベネズエラの石油も同様で、地中から吸い上げるにも、パイプラインを通すにも、通常の石油の何倍もの手間とコストがかかります。

■ 生命線としての「ナフサ」への依存

このドロドロの原油を商品(ガソリンや軽油など)にするためには、必ず「希釈(薄めること)」が必要になります。ここで使われるのが「希釈剤」と呼ばれる軽質石油製品、「ナフサ」です。 ドロドロの超重質油にナフサを適切な比率で混ぜ合わせることで、初めて石油はパイプラインを流れ、港まで運べるようになります。いわば、ドロドロの血液をサラサラにする「血液凝固防止剤」のような役割です。

ここで構造的な課題が生じます。長年、米国と対立的な外交路線をとってきたベネズエラですが、この命綱である「ナフサ」の主要な供給源の一つは、他ならぬアメリカだったのです。ベネズエラはアメリカに原油を売る一方で、アメリカからナフサを買わなければ石油産業を維持することが難しいという、構造的な依存関係を抱えていました。

2. 米国が提示する「運営」というビジネスロジック

トランプ氏が表明した「運営(Run)」という言葉の背景には、このベネズエラの技術的・構造的な状況を踏まえた、実務的な戦略が反映されていると考えられます。

■ インフラ整備と管理のセット提示 かつてのベネズエラには、超重質油を高品質な合成原油に変えるための「アップグラウンダー(改質装置)」という巨大なプラントが複数存在しました。しかし、長年のメンテナンス不足により、これらのプラントの多くは現在、その機能を十分に発揮できていません。

米国が提示している「運営」のシナリオは以下のようなものと推察されます。

1.米企業の技術協力: シェブロンなどの米石油メジャー企業が主導し、機能低下したプラントを修復・近代化する。

2.資材の安定供給: テキサス等からナフサを供給し、停滞していた石油生産の再稼働を図る。

3.収益によるコスト回収: 生産された石油の収益から、投資された運営管理費や修復費用を優先的に回収する。

これは、従来の外交枠組みを超えた、実務と資本の論理に基づいた「実効的な管理」の形と言えます。「技術と希釈剤を提供する対価として、運営権と収益の分配権を確保する」という、明確な経済合理性に基づいた戦略です。

3. 巨額債権者――中国の「9兆円」への影響

しかし、この「アメリカ主導の運営」に対し、強い関心を寄せているのが中国です。中国にとってベネズエラは、長年にわたり多額の融資を行ってきた重要な取引先だからです。

■ 石油担保融資のリスク管理 中国はこれまでに、累計で約600億ドルから1,000億ドル(約9兆〜15兆円)という、巨額融資をベネズエラに行ってきました。 この契約の根幹は「石油での返済(Oil-for-loan)」です。中国は融資の引き換えに、将来ベネズエラが生産する石油を確保する権利、いわば「石油の予約購入」を行ってきました。

もしアメリカがベネズエラの石油運営権を完全に掌握することになれば、収益の配分順位が変更され、中国の長年の投資が回収困難となるリスクが生じます。これは習近平政権が進める「一帯一路」構想の信頼性にも関わる、国際経済上の大きな懸念材料となります。

4. ロシアが注視する地政学的なパワーバランス

一方、ロシアのプーチン政権もまた、この動向を注視しています。ロシアにとってのベネズエラは、経済的な利害以上に、地政学的な「戦略的拠点」としての意義が非常に大きいからです。

■ 米国の近傍における影響力 ベネズエラは、アメリカのフロリダからわずか2,000キロの距離に位置します。ロシアはこれまで、米国への牽制として、ベネズエラに対し最新鋭の対空ミサイルシステム(S-300)や戦闘機の供与、軍事技術顧問の派遣を行ってきました。

もしアメリカ主導の「運営」により、親米的な管理体制が確立されることになれば、ロシアが築き上げたこの地域における影響力は低下します。自国の影響圏が変化することに対し、ロシア側が今後どのような外交的・戦略的な対応をとるかが注目されています。

5. 2026年、ベネズエラが辿る可能性のある3つのシナリオ

大国同士の思惑が交錯する中、今後のベネズエラの動向には以下の3つのシナリオが想定されます。

1.「実務的管理」による経済復興: 新たな管理体制の下でアメリカの資本と技術が迅速に導入され、石油生産が回復。国民生活が安定に向かう一方で、実質的な資源管理権をワシントンが掌握する形。(2026年1月7日時点で、対米融和のロドリゲス暫定大統領が正式就任し、アメリカに原油3000万~5000万バレルを引き渡す、とSNSでトランプ大統領が投稿したと報じました。)

2.情勢の長期化と不安定化: アメリカの「運営」方針に対し、他国の支援を受けた勢力が抵抗を継続。パイプラインやプラントが政争の対象となり、石油生産の回復が遅れるケース。これは国際エネルギー市場に長期的な不透明感をもたらします。

3.地域的な管理の分断: 資源地帯と政治拠点で、支援国を異にする勢力がそれぞれの実効支配を強め、国家の構造が事実上分断される可能性。国際社会にとって極めて困難な外交課題となる恐れがあります。

エピローグ――日本人がこのニュースを注視すべき理由

最後に、なぜ私たち日本人が、地球の裏側の出来事にこれほどまで関心を持つべきなのかを考えてみましょう。

日本はエネルギー資源のほとんどを海外に依存しています。ベネズエラ情勢の動向は、世界の原油価格に反映されます。それは、私たちが支払う電気代やガソリン代、そして物流コストを通じた食品価格の変動として、私たちの家計に直接反映される問題なのです。

また、トランプ大統領が示した「国家の運営をビジネス的な視点から管理する」というアプローチが、今後の資源外交の新たなモデルとなるのか、それとも特例に留まるのか。国際秩序のあり方が議論される2026年、ベネズエラの地で起きていることは、私たちが生きる世界のルールそのものの変容を予兆しているのかもしれません。


参考資料・引用元

本ブログ記事は下記の参考元を参照、引用し、執筆者の見解を加えて執筆しています。

JIJI.com ベネズエラ「運営」表明 米大統領「政権移行まで」―マドゥロ氏拘束、石油権益掌握へ

ロイター通信 中国、ベネズエラ向け融資の報告要請 マドゥロ氏拘束で=BBG

TWZ モスクワはベネズエラに防空システムを提供したが、攻撃ミサイルの可能性は排除していない:ロシア当局

米国エネルギー情報局 (EIA): ベネズエラの原油生産量、超重質油の性質、精製プロセスに関する統計データ

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