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【完全ガイド】クマ・イノシシ・サルから大切な農産物を守る!プロが教える野生鳥獣被害対策の全て
近年、野生鳥獣による農作物被害が全国的に深刻化しています。農林水産省が令和6年に発表した最新データ(令和5年度調査)によれば、被害総額は164億円に上り、特にシカ(70億円)、イノシシ(36億円)、クマ(7億円)による被害が甚大です。農業を始めたばかりの方や、中山間地域にお住まいの方の中には、「自分の畑もいつか被害に遭うかもしれない」「どう対策すればいいのか全く分からない」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、鳥獣被害対策の専門家として、被害が増え続ける根本的な原因から、特に被害の大きいクマ、イノシシ、サルの3種に特化した効果的な対策、全国の成功事例、そして今後の展望まで、網羅的に解説します。この記事を読めば、明日から何をすべきかが明確になり、大切な農産物を守るための確かな一歩を踏み出せるはずです。
なぜ野生動物の被害は増えている?根本原因を知ることが対策の第一歩
鳥獣被害対策というと、多くの方が「捕獲」を思い浮かべるかもしれません。しかし、なぜ被害が増えているのか、その根本原因を理解することが、効果的な対策を立てるための最も重要な第一歩です。
専門家によれば、野生動物による農作物被害は、以下の2つの条件が揃ったときに発生します(出典:小寺祐二氏の資料)。
① 同所条件: 野生動物と人間が同じ場所に存在すること。
② 競争条件: 農作物をめぐって、動物と人間の間で奪い合い(競争関係)が生じること。
このシンプルな構図に、近年の社会環境の変化が大きく影響し、被害を助長しています。
・里山・森林環境の変化: かつて薪や炭を作るために利用されていた里山(薪炭林)が使われなくなり、木々がうっそうと茂るようになりました。また、管理されなくなった耕作放棄地は、イノシシなどにとって格好の隠れ家や餌場となっています。
・人間社会の変化: 中山間地域における過疎化・高齢化により、農地や集落での人間の活動が低下しました。その結果、動物たちの人間に対する警戒心が薄れ、より大胆に人里へ出没するようになっています。
これらの根本原因から、長期的な共存には「ゾーニング(棲み分け管理)」の考え方が重要です。これは、人間と野生動物の活動エリアを明確に分け、境界線を重点管理することで不要な衝突を防ぐものです。単に動物の数を減らすだけでは解決せず、対策の基本は「動物が寄り付かない環境を作ること」にあります。そのための具体的な手段が「環境管理」「侵入防止」「個体数管理」の3つの柱です。
① 環境管理: 動物を惹きつける原因を取り除く。
② 侵入防止: 柵などで物理的に農地を守る。
③ 適切な個体数管理: 被害を頻繁に引き起こす個体や、人馴れして危険な個体を対象に、捕獲を行うこと。これはあくまで環境管理や侵入防止を補完する手段です。
明日からできる!動物別・プロが実践する最強の被害対策【最新事例つき】
ここからは、鳥獣被害対策の核となる、具体的で実践的な方法をご紹介します。まずは、全ての動物対策に共通する大原則から始めましょう。
全ての動物対策に共通する基本原則
どんなに高性能な柵を設置しても、以下の2つの原則が守られていなければ効果は半減してしまいます。
原則1:徹底した環境管理
野生動物は、そこに「エサ」と「隠れ場所」があるからやってきます。まずは、動物を惹きつける原因を徹底的に取り除くことが不可欠です。
・誘引物の除去・管理: 収穫しないカキやクリなどの「放任果樹」は、動物にとってごちそうです。もし心当たりがあれば、これが最初の対策ポイントです。可能であれば伐採しましょう。また、生ゴミやコンポストは蓋付きの容器で厳重に管理し、ペットフードは必ず屋内で保管してください。
・隠れ家の除去: 動物は、身を隠せる藪(やぶ)を伝って農地や家屋に近づきます。農地や家に隣接する林縁部を「緩衝帯」として整備し、定期的に草刈りを行うことで見通しを良くしましょう。これにより、動物が安心して近づけなくなり、人間との突発的な遭遇を防ぐ効果もあります。
原則2:「集落ぐるみ」での取り組み
鳥獣被害対策は、個人の努力だけでは限界があります。なぜなら、一軒だけが完璧に対策をしても、隣の畑にエサがあれば動物は必ずやってくるからです。集落全体で「エサを与えない」「隠れ場所を作らない」というルールを共有し、足並みをそろえて取り組むことが成功の絶対条件です。
実際に、三重県伊賀市では、地域が一体となってサル対策に取り組んだ結果、大きな成果を上げています。個人の対策から、地域全体の対策へと視点を広げることが、解決への近道です。
【イノシシ対策】侵入させない「鉄壁の守り」を作る

イノシシ対策で最も効果的なのは、侵入を物理的に防ぐ「侵入防止柵」、その中でも特に「電気柵」です。イノシシは非常に賢く、一度電気柵で痛い目に遭うと「ここは危険だ」と学習し、近寄らなくなります。
ただし、設置方法を間違えると効果は激減します。専門家(出典:「鳥獣被害対策ドットコム」)が推奨する、効果を最大化するための設置ポイントを9つのチェックリストにまとめました。
| 通電の良い場所に設置する | 地面が乾いている場所やコンクリート、アスファルトの上では電気が流れません。 |
| アースは湿った場所に深く打ち込む | アースがしっかり機能しないと、十分な電気ショックを与えられません。 |
| 碍子(ガイシ)は外側に向ける | イノシシが支柱ではなく、電線に触れるように設置します。 |
| 斜面からは2m以上離す | 斜面のすぐそばだと、上から飛び越えられる可能性があります。 |
| 漏電防止のため、定期的に草刈りを行う | 雑草が電線に触れると漏電し、効果が弱まります。 |
| 柵の近くの藪を整備する | 柵の周りに隠れ場所があると、イノシシにじっくりと弱点を探られてしまいます。 |
| 農地を隙間なく囲う | 少しでも隙間があれば、イノシシはこじ開けて侵入します。 |
| イノシシの鼻先の高さに電線を張る | イノシシは未知の障害物に対し、まず鼻先で触れて安全を確認する習性があります。このため、最も敏感な鼻に電気ショックを与えることで、「この柵は危険だ」と一発で強烈に学習させることが狙いです。地面から20cm程度の高さが目安です。 |
| 地面の窪みは電線を追加してふさぐ | 潜り抜けられないように、地形に合わせて電線を追加します。 |
【クマ対策】とにかく「エサ」を与えない徹底管理

クマ対策の要は、イノシシ以上に「誘引物の徹底管理」です。クマは非常に執着心が強く、一度「ここはエサ場だ」と認識すると、危険を冒してでも繰り返し出没するようになります。
住宅周辺と農地周辺で、特にクマを誘引するものを以下にリストアップしました。もし心当たりがあれば、これが最初の対策ポイントです(出典:環境省マニュアル)。
・カキ、クリなどの果樹: 庭先や畑の隅にある不要な果樹は、クマを呼び寄せる最大の原因です。伐採するのが最も効果的です。伐採が難しい場合は、電気柵で囲ったり、クマが登れないように木の幹にトタンを巻いたりする対策が有効です。これにより、クマが爪を立てて登るための足がかりをなくします。
・生ゴミ: クマは嗅覚が非常に優れており、生ゴミの匂いに強く惹かれます。長野県軽井沢町では、クマが開けられない特殊な構造の「クマ対策ゴミ箱」の導入や、ゴミ集積所の扉を頑丈な鍵付きにすることで、被害を劇的に減らすことに成功しています。これらは、クマの力では破壊できない頑丈な素材と、手先の器用さでは開けられない特殊なロック機構を備えています。
・養蜂箱、家畜飼料など: これらもクマにとっては魅力的なエサです。電気柵で厳重に防護することが最も確実な対策です。
クマ対策で電気柵を設置する場合は、よじ登りを防ぐために3〜4段張りにし、一番下の電線は地面から20cm以下に設置するのがポイントです。
【サル対策】知能犯に勝つ「合わせ技」

サルは非常に学習能力が高く、賢い動物です。そのため、単一の対策ではすぐに見破られてしまいます。サル対策の成功には「侵入防止柵」と「追い払い」、この二つの合わせ技が不可欠です。
・侵入防止柵: サルはよじ登ったり、飛び越えたりする運動能力が非常に高いため、通常の電気柵では効果がありません。「サル用電気柵(例:おじろ用心棒)」が有効です。これは、サルがよじ登ろうとするワイヤーメッシュ柵の上部に、マイナスとプラスの電線を複数段張った構造です。サルが柵を登る際に必ず電線に触れるように設計されており、電気ショックによって「この柵は登れない危険なものだ」と効果的に学習させます。
・追い払い: 追い払いは、サル対策で最も重要な要素の一つです。「たまに、一人で、短時間」といった中途半端な追い払いは逆効果で、サルが人間を怖がらなくなる原因になります。成功の秘訣は、「集落ぐるみで、サルを見たら必ず、集団で、サルが集落から出ていくまでしつこく」追い払うことです。ロケット花火などの音や光で威嚇し、サルに「この集落は危険で、落ち着いてエサを食べられない場所だ」と徹底的に学習させることが目的です。
この「侵入防止」と「追い払い」を組み合わせた対策を徹底した三重県伊賀市では、サルによる農業被害を95%も削減し、一度は諦めかけていた住民の営農意欲も回復するという劇的な成功を収めています。
対策の課題と未来への展望:持続可能な共存を目指して
ここまで効果的な対策を紹介してきましたが、現実には多くの課題も存在します。ここでは、対策を阻む壁と、それを乗り越えるための新たな希望についてお話しします。
対策を阻む3つの壁
多くの地域が、鳥獣被害対策を進める上で以下のような現実に直面しています。
・人手不足と高齢化: 電気柵の維持管理や定期的な草刈りなど、対策には継続的な労力が必要です。高齢化が進む地域では、これが大きな負担となっています。
・コストの問題: 効果的な侵入防止柵は高価であり、特に広範囲を囲う場合、初期投資が大きな負担となります。対策として、国の「鳥獣被害防止総合対策交付金」のような補助金制度も存在するため、自治体に相談してみましょう。
・地域内の合意形成の難しさ: 住民一人ひとりの被害への意識や考え方には温度差があります。「自分は被害に遭っていないから」と非協力的な人がいると、地域全体で協力体制を築くのが難しくなります。
新たな希望:未来の対策
これらの困難な課題を乗り越えるため、新しい技術や考え方も生まれています。
・テクノロジーの活用: 三重県で導入された、スマートフォンで遠隔操作できる大型捕獲檻「クラウドまるみえホカクン」のように、ICT技術を活用することで、見回りなどの労力を大幅に削減し、対策の効率化が可能になっています。
・専門人材との連携: 自治体に配置される「鳥獣専門指導員」や、民間の専門事業者など、対策をサポートするプロの存在がますます重要になっています。専門的な知識を持つ人材と連携することで、より効果的な対策計画を立てることができます。
・「ゾーニング」の実現へ: 冒頭で述べた「ゾーニング(棲み分け管理)」を地域全体で持続的に実現していくことが、未来の対策の鍵です。テクノロジーや専門家と連携することで、これまで人手不足やコストで難しかった境界線(緩衝帯)の管理がより効率的になり、野生動物との不要な衝突を減らす、真の共存への道が開かれます。
まとめ|あきらめないで!正しい対策で農産物は守れる
最後に、この記事の要点をまとめます。
・ポイント1: 被害の根本原因は、人間社会(過疎化・高齢化)と自然環境(耕作放棄地の増加など)の変化にあります。
・ポイント2: 対策の基本は「環境管理」「侵入防止」、そしてこれらを補助する「適切な個体数管理」の組み合わせです。捕獲だけに頼るのではなく、まずは動物を寄せ付けない環境づくりが最優先です。
・ポイント3: 相手(イノシシ、クマ、サル)の特性を理解し、それぞれに合わせた正しい対策を選ぶことが成功への近道です。
・ポイント4: 成功の最大の秘訣は、個人で頑張るのではなく「集落ぐるみ」で粘り強く、継続して取り組むことです。
野生鳥獣による被害は、多くの農家さんにとって深刻な問題であり、時には営農意欲さえも失わせてしまいます。しかし、諦める必要はありません。原因を正しく理解し、動物の習性に合わせた適切な対策を、地域一丸となって継続すれば、必ず被害は減らせます。
まずは、ご自身の農地や家の周りにある「エサ」や「隠れ場所」がないか、環境点検から始めてみませんか。そして、その気づきを近所の方と共有することから、大きな変化が始まるはずです。
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