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2025/10/30

2025今年も多発!農作業中の死亡事故。転落、巻き込み…悲惨すぎる事故ワースト5

高止まりする農作業事故の現状を直視する

農業は私たちの生活を支える基幹産業ですが、その現場には常に重大な危険が潜んでいます。特に、生産性を高めるための重要なパートナーである農業機械は、操作を一歩間違えれば、一瞬で人命を奪う「凶器」へと変わります。

農林水産省の統計によると、2023年(令和5年)の農作業事故による死亡者は236人に上り、その85.6%が65歳以上の高齢者でした(※①)。さらに、事故原因の6割以上を農業機械によるものが占めています。

この深刻な状況を受け、本記事では、熟練のベテラン農家様から、新規就農、さらには家庭菜園で初めて農機具を手に取った皆様まで、すべての方に改めて危険性を認識していただくため、日常で無意識に行われがちな危険な習慣により引き起こされる悲惨な農業事故ワースト5とその予防策を、具体的な事例と共に深く掘り下げてまいります。

農作業死亡事故を引き起こす「最悪な習慣」ワースト5

ワースト5:最も軽視されがちな「防護装備の不着用」

最も軽視されがちでありながら、深刻な傷害に直結するのが防護装備の不着用です。

危険な習慣

「ちょっとだけだから」「面倒くさい」と保護メガネや、刈払機の飛散防止カバーを外して作業すること。

潜む危険性:

■刈払機や砕土作業中に飛び散る小さな石や金属片は、高い速度で飛散し、小さな弾丸となります。保護メガネなしで目に入れば、失明を含む重篤な視力低下を引き起こす可能性があります。

実際に、保護メガネを着用せず刈払機で作業中、コンクリート片が飛散して右目に当たり、視力低下に至った事故があります(※②)。また、地面のボルトに刃が当たったことで、近くにいた子どもの目にボルトが突き刺さるという痛ましい事故も報告されています(※③)。

こうした飛散物による事故の多くは報道されませんが、独立行政法人国民生活センターも注意を呼び掛けているように、実際には多くの被害が発生しています(※④)。

【安全の鉄則】

■防護メガネ・防護カバーは絶対に外さないでください。これらは、あなたの未来や周囲の人の安全を確保するための数千円の投資です。

■刈払機作業時は、肌を覆う服装に加え、刃が当たることを想定し、必ず安全靴を着用するよう徹底してください。

ワースト4:命を奪う「転落・転倒事故」

農業機械による事故の中で最も多いのが、トラクターやコンバインによる転落・転倒事故です。これは、操作に対する油断と慢心から始まる非常に危険な使い方です。

転落事故の主な原因:

■不注意な操作と特性の誤解: 圃場(ほじょう)での作業時、片側のブレーキ(片ブレーキ)がロックされたまま急な方向転換を行うと、車体が浮き上がり、バランスを崩して水路や道路に転落します。

■シートベルトの不着用: 転落時に車外に投げ出され、機械の下敷きとなって死亡するケースが後を絶ちません。

    トラクターは重心が高く設計されており、段差や傾斜で一気に不安定になります。「これくらい大丈夫だろう」という慢心が、最悪の結果を引き起こすことを忘れてはいけません。

    この痛ましい事故は繰り返されており、2022年には岡山県で高校生を含む8人がコンバインの横転による死亡事故に遭った痛ましい事例が報告されています(※⑤)。さらに、2024年9月には新潟県佐渡市で父親が運転するコンバインの下敷きになり息子さんが死亡する事故が発生しています(※⑥)。

    【安全の鉄則】

    ■作業前には、必ず片ブレーキが解除されているか確認してください。

    ■運転席ではシートベルトを必ず着用してください。

    ■一緒に作業する方は、作業機の死角を絶対に歩かないように徹底してください。

    ワースト3:足元の不安からくる「刈払機の接触事故」

    ワースト3は、最も身近な農機具である刈払機による接触事故です。

    危険な習慣:

    斜面や濡れた場所、慣れた作業場で、足場に対する注意を怠ること。

    潜む危険性:

    ■高速回転する刃がむき出しの刈払機は、転倒した瞬間に凶器に変わります。刃は一瞬にして足や首の太い動脈を切り裂く危険があり、命に関わる事態となります。

    ■昨年の事故例では、斜面で草刈り中に足を滑らせて滑落し、作動中の刈払機の刃が首元に接触して命を落とした男性がいます(※⑦)。

    【安全の鉄則】

    ■足場の悪い作業場では、作業中の転倒が命に関わることを常に念頭に置いてください。

    ■特に滑りやすい斜面では、必ず滑り止めのついた安全靴や専用の装備を使用しましょう。

    ■足場に不安がある場所での作業は、必ず誰かと一緒に行うか、十分に転倒に注意してください。

    ワースト2:古い機種に潜む「管理機の後進時ロータリー巻き込み事故」

    中古の管理機・耕耘機に多く見られるのが、後進時(バック時)のロータリー巻き込み事故です。

    潜む危険性:

    ■古い機種の多くは、バックしてもロータリーが止まる安全装置(ロータリー逆転停止機能など)が搭載されていません。足元の悪い畑でバック中に足を滑らせて転倒した場合、回り続けるロータリーはあなたを下敷きにし、足、そして上半身をも容赦なく巻き込みます。言うならば、あなたが耕されてしまうということです。これは、想像を絶する非常に悲惨な状況です。

    【安全の鉄則:安全装置の確認の方法】

    1.エンジンをかけ、ロータリーを回したまま、走行変速レバーを後進(R)に入れます。

    2.ロータリーの回転が自動で止まった場合、安全装置は生きています。

    3.ロータリーが回転し続けた場合、安全装置がないか、故障している可能性が高いです。

      ※安全装置がない、または不安な場合は、後進時はロータリーを絶対に止めてください。不安な方は、機体の型式や製造番号を控え、購入店やメーカーに問い合わせて正確に確認してください。そして、中古農機を購入する際は必ず店舗スタッフに安全装置の有無を確認しましょう。

      ワースト1:最も重大な事故原因「トラクター稼働中のロータリーへの接触」

      ここ数年のうちに各地で死亡事故が発生しており、最も重大な事故原因の一つに挙げられるのが、トラクター稼働中のロータリーへの接触・巻き込まれ事故です。

      事故の直接的な引き金は、オペレーターの「ちょっとだけ」という油断です。

      危険な行動:

      ■エンジンを切らず、あるいはPTO(エンジンから外部の作業装置へ動力を取り出すためのシャフトのこと)を切らずに詰まりを解消しようとする。

      ■PTOを切った後も、惰性回転が残っているのに手を入れて詰まりを解消しようとする。

      見落としがちな危険要因:

      1.服装: 帽子の紐、タオル、裾の広がった作業服など、ロータリーに巻き込まれやすい服装は大変危険です。これらはふとした瞬間に、あなたもろとも回転部に引きずり込みます。

      2.機械的な罠: PTO軸を保護するカバーや、ロータリー本体の安全ガードが破損したまま、または外れたままになっていませんか?これは、事故を防ぐ最後の砦が機能していない極めて危険な状態です。

        回転部に触れれば、即座に命にかかわる重大な損傷を負います。昨年は茨城県五霞町で84歳女性がトラクターのロータリーに巻き込まれて死亡した事故が(※⑧)、今年は新潟市秋葉区でも死亡事故が発生しています(※⑨)。

        【特別警告】「孫をトラクターに乗せる行為」の悲劇

        帰省シーズンには特に注意が必要です。孫を楽しませたい気持ちは理解できますが、フォークリフトやトラクター、コンバインに孫を乗せる行為は絶対にやめてください

        過去には、祖父が孫をトラクターに乗せて発進した際、孫が転落し、ロータリーに巻き込まれて死亡する事故が複数件発生しています(※⑩)。日本農業新聞でも「相次ぐ子どもの事故」として警鐘を鳴らしています。

        「ちょっとだけ」と手を出す行為、そして孫を乗せる行為は、あなたの命、あなたの大切な存在の命と引き換えになることを認識してください。

        対に孫を乗せてはいけません

        さいごに

        農業機械は、あなたの使い方一つで最高の生産パートナーにもなり、一瞬で命を奪う危険な機械にもなります。

        車と違い、運転席や刃物がむき出しの農機具は、常に危険と隣り合わせであることを強く認識しましょう。安全に、作業を止めないための日々の整備、点検は極めて重要です。

        また、近年では猛暑の影響で農作業中の熱中症による死亡者も著しく増加傾向にあります。最新の農作業死亡事故(令和5年)において、「熱中症」による死亡者は37人と全体の15.7%となっており、増 加傾向です。 また、令和6年度の夏季(5~9月)において、田畑等で農作業中に熱中症によって救急搬送された人数は 2,322人と直近5年で最多となっています(※⑪)。

        転落や巻き込みといった機械事故だけでなく、体調管理も重要な安全対策の一つです。水分補給、休憩の徹底、作業時間の調整など、熱中症対策にも十分気を付けて作業を行ってください。

        私たちは、農作業による死亡事故を防ぎ、すべての農業従事者が安全に、そして安心して豊かな生産活動を続けられるよう、引き続きサポートしてまいります。安全な作業を心掛け、ご自身と大切な人たちの命を守りましょう。

        【出典】

        ※①農林水産省 令和5年の農作業死亡事故について 令和6年2月26日

        ※②独立行政法人 国民生活センター 2020年07月22日 

        ※③livedoor News タイで草刈機に吹き飛ばされたネジが3歳児の目に刺さる 角膜を免れ回復 2020年7月28日

        ※④ 産経新聞草刈り機事故、5年で29件 飛散物で周りにけがも、生活センターが注意呼び掛け 2024年8月22日

        ※⑤ OHK 高校生も犠牲となった「農機具転倒事故」を減らそう…販売会社がトラクター転倒体感機を開発 2024年4月25日

        ※⑥にいがた経済新聞  【農作業中の事故で】佐渡市の田んぼで稲刈り機が横転、下敷きになり男性(37歳)が死亡 2024年9月28日

        ※⑦ 朝日新聞 刈払機で高齢男性が死亡 事故防ぐ手立ては 2024年12月1日

        ※⑧NEWS PICKS トラクターのロータリーに巻き込まれる 84歳女性死亡 茨城・五霞  2024年10月1日

        ※⑨ 新潟経済新聞 【死亡事故】トラクター後部のローターに挟まれた可能性も2025年6月19日

        ※⑩ 日本農業新聞[論説]相次ぐ子どもの事故 絶対農機に乗せないで 2023年6月25日

        ※⑪東北農政局生産部環境・技術課 農作業中の熱中症対策について

        最後までお読みいただきありがとうございました。

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