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米価格高騰で日本酒が飲めなくなる日が来る?酒蔵「もう作れない…」令和のコメ不足で日本酒文化が消滅の危機

こんにちは。広報のコイデです。昨日の信州は一段と寒さが増し、冬が近づいたことを感じさせる日でした。あわただしく過ごしているうちに、あっという間に11月、12月となり、2025年も終わってしまいそうです。
そんな一年の終わり、大晦日の夜、家族で賑やかに、または静かにグラスを傾けるひととき。皆さんは何で乾杯しますか?ビールにチューハイ、ハイボール。焼酎、ワイン、そしてカクテル。日本ではたくさんのアルコールが親しまれていますが、私は断然、日本酒です!
祝いの席を彩り、人々の心を繋いできた日本酒は、私たち日本人にとって、かけがえのない文化です。私も毎年大晦日には決まった蔵の日本酒で一年を締めくくるのを楽しみにしています。
しかし、その静かで豊かな時間が、今、深刻な危機に直面しています。最近のニュースでも報じられる米の価格高騰の裏側には、単なる物価上昇では済まされない、日本酒業界を揺るがす深刻な問題が隠されています。まさに「令和の米騒動」による問題と呼ぶべき事態です。
本記事では、今、日本酒業界で一体何が起きているのか、その危機の本質を掘り下げて解説します。そして、世界に誇る日本のこの素晴らしい酒文化が持つ価値を再認識し、未来へと繋ぐために私たちに何ができるのかを考えます。

まさかの逆転現象!「主食米」が儲かる『令和の米騒動』のメカニズム
なぜ、全国の酒蔵が悲鳴をあげているのでしょうか?その根本的な原因は、「酒造好適米(酒米)を作るよりも、私たちが普段食べる主食用米(主食米)を作った方が、農家さんにとって儲かる」という、これまで考えられなかった逆転現象が起きてしまったことです。
この逆転現象の引き金となったのは、異常気象による主食米の収穫量減少と価格の高騰です。猛暑などの影響で主食米の収穫量が全国的に減少し、市場価格がグッと高騰しました。その結果、これまで手間ひまかけて高品質な酒米を作ってきた多くの農家さんが、より収益性の高い主食米の生産に切り替えるか、あるいは酒米作りそのものをやめてしまうケースが相次いでいるのです。
米価格高騰で酒蔵にのしかかる二重の苦しみ
この「令和の米騒動」は、酒蔵に直接的かつ深刻なダメージを与えています。
1.原料の供給不足と価格の異常な高騰: 農家が酒米から主食米へ転換することで、酒米の供給量が激減しました。需要と供給のバランスが崩れた結果、酒米の価格はとんでもないレベルで高騰しています。原料である米が手に入らなければ、当然お酒は造れません。
2.コスト増による市場の悪循環: たとえ高騰した酒米を何とか手に入れたとしても、そのコストは当然、製品価格に上乗せせざるを得ません。最終的に日本酒の販売価格が上昇すれば、消費者は手の届きにくいものとして日本酒から遠ざかってしまうという悪循環に陥る危険性があります。
多くの酒蔵が「もう限界だ」「これ以上は酒造りを続けられない」と、廃業の危機さえも示唆する悲痛な声をあげているのが現状です。

日本酒文化は「日本の宝」としての計り知れない価値
私たちが今、失うかもしれない危機に直面している日本酒文化には、一体どれほどの歴史と重みがあるのでしょうか。日本の酒造り文化は、想像を絶するほど長い歴史を持っており、まさに「日本の宝」と呼ぶにふさわしいものです。
日本の歴史と共に歩んだ酒蔵の足跡
その歴史は中世にまで遡ります。現存する日本最古の酒蔵とされる須藤本家(茨城県)は、なんと1141年には既に酒造りを行っていた記録が残っているのです。1141年と言えば、第75代天皇の近衛天皇が即位し、後の保元の乱に繋がることになる崇徳上皇の退位のあった年です。平安時代末期にまで遡るその歴史は、日本の歴史そのものと重なります。
ちなみに平安時代末期のお酒は、現代の清酒と異なり、米粒が残った濁酒(どぶろく)のようなもので、甘みが強く、アルコール度数は低めのお酒でした。精白米を使うようになったのは諸白造りの技術が確立した室町時代後期からで、それはおおよそ1492年頃の日本です。その頃の日本の長い歴史と共に歩んできた蔵元は数多く存在します。例えば、須藤本家に次ぐ古さを持つ飛良泉本舗(秋田県)は1487年の創業ですし、5番目の古さとなる酒千蔵野(長野県)が創業した1540年は、あの織田信長がまだ6歳だった頃、戦国時代の動乱期にあたります。私が個人的に応援し、毎年暮れにお歳暮や1年間のご褒美として購入している山形県の「米鶴酒造」も、1697年創業で、やはり300年以上の歴史を持つ由緒ある酒蔵です。これほど長い間、戦や天災、経済の変動を乗り越えて連綿と続いてきた事実には、改めて驚かされます。
このことからも、酒造りがいかに日本の歴史や文化、人々の生活にとって重要であったかがわかります。これらの蔵元は、単なる酒造りではなく、日本の歴史そのものを背負ってきたと言えるでしょう。
現代においても、300年以上の歴史を誇る蔵が100軒以上存在し、現役の酒蔵の約4分の1にあたる300軒ほどが、200年以上の歴史を持っているとされています。この300年以上の歴史という重みは、世界的に見ても稀有な文化遺産なのです。(その他、18世紀までに創業した日本の酒蔵一覧はこちら)

常に試練にさらされてきた文化
しかし、こんなに長い歴史を持つ文化も、常に順風満帆だったわけではありません。明治時代には3万軒近くあった酒蔵も、今は1,200軒ほどにまで減少しています。そして今、日本酒文化はまたしても「米不足と価格高騰」という、かつてない形の大きな試練に直面しているのです。
どん底からのSAKEブーム
今回の危機が、なぜこれほどまでにもどかしい気持ちにさせるのでしょうか?それは、日本酒業界が一度はどん底から這い上がり、奇跡のような復活を遂げた、輝かしい歴史があるからです。
業界を救った蔵元たちのたゆまない努力
2000年頃、日本のお酒市場は空前の焼酎ブームや、ビール、発泡酒、その他の多様なアルコール飲料の台頭により、日本酒の消費量は一時低迷期を迎えました。市場は「日本酒離れ」が叫ばれるほどのどん底でした。
しかし、そこから全国の蔵元さんや関係者は決して諦めませんでした。蔵元たちは、伝統製法を守りつつも、現代の食文化に合わせたフルーティーで華やかな吟醸酒や、低アルコール酒、さらにはワイングラスで楽しめる日本酒の開発など、消費者の嗜好の変化に対応するための血の滲むような革新を続けました。また、海外市場を意識したおしゃれなラベルの採用や、酒蔵を訪れる「酒蔵ツーリズム」の推進など、業界の存亡をかけた取り組みが行われました。
世界を魅了した「SAKE」
その努力が実を結び始めた頃、「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことが大きな追い風となりました。和食と共に日本酒の魅力が「SAKE」として世界中に広がり、海外の有名レストランでも飲めるのが当たり前になるほどの、世界的なブームを巻き起こすまでに至ったのです。
蔵元たちの懸命な努力と、和食の無形世界遺産登録という追い風を受け、日本酒は世界に誇る文化として復活を遂げました。それなのに、今回の「令和の米騒動」で、国内の米の需給バランスという、まさかの問題によって、その灯が消えかかっている現状は、私たちに深い悔しさを感じさせます。努力の末に掴んだ光が、予期せぬ「身内の問題」によってかき消されようとしているのは、大変しのびないことです。
私たちが守るべき日本酒文化
個人的な話になりますが、学生時代に居酒屋でアルバイトをしていた時、忘れられない光景があります。アメリカ人のお客さんが「この日本酒を作っている蔵が、アメリカが建国されるより前から存在しているなんて、信じられない!」と、心底驚いていたことが、私の胸に深く残っています。これは、私たちが当たり前に思っている文化が、世界から見ればいかに奇跡的で驚異的な遺産であるかを示しているエピソードでした。
このような歴史を背負う蔵でさえも、今回の危機の例外ではありません。これは、単なる一つの会社の存続問題ではなく、何百年にもわたって受け継がれてきた文化的な遺産が失われるかもしれない危機なのです。
私たち消費者による「直接的な支援」
この問題は、単なる経済の数字だけでは語りきれません。そこには、日本酒を愛するすべての人々の、深い感情が渦巻いています。
一度は世界に誇る文化として復活した日本酒が、国内の米の需給バランスという、いわば「身内の問題」によって衰退の道をたどってしまうかもしれないのです。この理不尽な状況に対し、蔵元関係者も私たち日本酒ファンも、共通のもどかしさを強く感じています。一時的な米価格高騰のせいで、これほど素晴らしい文化が廃れてしまうかもしれないという切実な危機感。
だからこそ、今、私たち日本酒愛好家の「選んで買う」という行動が、最も直接的で力強い支援になります。一時的な価格高騰にためらうのではなく、その一杯に込められた物語と価値を信じて手を伸ばすこと。
日本酒文化は大切な日本の伝統であり、この文化を守るためにも、価格高騰にひるまず、日本酒を買い続けることが、蔵元への支援となり、ひいては日本酒文化の継続に繋がると思っています!
この一杯の先にある未来のために、私たちができること
私たちが選ぶその一杯が、ささやかながらも文化を守る一助となり、日本酒が未来永劫、私たちの豊かな時間をもたらしてくれることを信じ、今年も暮れの美味しい日本酒を楽しみに、2025年残りの2か月を頑張ってまいりたいと思います。

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お近くにお越しの際はぜひ味わってみてくださいね。
画像左から
沓掛酒造 「互」「福無量」
信州名醸 「喜久盛」
大塚酒造 「浅間獄」

(左)大衆酒場食堂Nakamura
信州名物「美味だれ」がたっぷりかかった『美味だれ 焼き鳥』858円(税込)
(右)居酒屋もんじゃ焼き竹りん
『明太子もちチーズ』税込1,408円
『豚玉』税込1,298円
『ソース肉焼きそば』 税込858円

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出典・参考文献
FNNプライムオンライン:「“令和の米騒動”で酒が造れない…「もう限界」酒米高騰で酒蔵から悲鳴「主食用米のほうが高く売れる」異常事態」
週プレNEWS:「”令和の米騒動”で日本酒に危機!? 農家が悲鳴「酒米より主食米を作ったほうが儲かる」」
読売新聞オンライン:「「令和の米騒動」で日本酒造りに危機、コシヒカリ高騰で農家が酒米から転換…「龍神」醸造元も悲鳴」
Yahoo!ニュース (FNNプライムオンライン):「【解説】“令和の米騒動”で日本酒がピンチ…コメ不足・価格高騰で酒蔵から悲鳴も」
最後までお読みいただきありがとうございました。
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