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2025/10/22

新たなテロの形態!静かに国を滅ぼす?アグロテロリズム(農業テロ)についての3つの真実

「テロ」という言葉から、従来の暴力的な攻撃を想像しがちです。しかし、最も深刻な脅威は、私たちの日常に静かに忍び寄り、国家の根幹を支える「食料供給網」そのものを標的とする、新たな形のテロかもしれません。

農業は国の礎であり、食料自給こそが真の独立に繋がります。近年、この礎を揺るがす具体的な事件がアメリカで発生しました。米司法省は、フザリウム・グラミネアラムという潜在的な「農業テロ生物兵器」となる病原体を国内に密輸しようとした容疑で、中国人学者らを起訴しました。この事件は、これまで理論上の脅威とされてきた「アグロテロリズム(農業テロ)」が、今や現実の国家安全保障上の課題であることを私たちに突きつけています。本記事では、この非伝統的な脅威の実態を、3つの真実から解説します。

もはや「農地」はリスク管理の最前線である

あらゆるものが兵器となりうる現代において、国家の存立基盤である「食」を支える農業が、安全保障上の新たな攻撃対象となっています。この、農作物や家畜を標的とし、国の食料供給網に意図的に損害を与える行為こそが、「アグロテロリズム(農業テロ)」です。

この脅威が机上の空論ではないことを証明したのが、先述のアメリカでの事例です。容疑者らが密輸を図ったとされるフザリウム・グラミネアラムは、小麦やトウモロコシなど主要作物の生育を阻害し、世界で毎年数十億ドルの経済損失をもたらすとされる菌類です。この一件は、食料サプライチェーンを狙った攻撃が、単なる可能性ではなく、具体的な手法として実行されうる現実の脅威であることを示しました。

容疑者が特定の財団から資金を受け取っていたという背景は、この種の攻撃が、個人の行動を超えた地政学的競争や経済的優位性を得るための手段として用いられうるという、重大な懸念を提起しています。この事実をもって、農地は単なる生産の場ではなく、サプライチェーンを保護するための「リスク管理の最前線」として認識されるべきです。「農業は国防」という意識が、今、最も必要とされています。

爆弾よりも深刻な「沈黙の兵器」がもたらす複合的リスク

従来のテロが特定の場所や人々を狙うのに対し、農業テロは一撃で国全体に深刻なダメージを及ぼす潜在能力を秘めています。主要な農作物や家畜に致死的な病気が蔓延すれば、その影響は国土全体に広がり、食料供給システムそのものを麻痺させてしまいます。

今回の事例となったフザリウム菌の脅威は、農作物の収量減に留まりません。この菌が産生する毒素は、家畜や人間に嘔吐、肝障害、生殖障害といった公衆衛生上の危機を引き起こす可能性があります。

さらに恐ろしいのは、農業テロに使われうる病原体の種類が極めて豊富なことです。世界の農業被害の70〜80%は糸状菌(カビ・菌類)によって引き起こされていると推定され、これらは全て潜在的な生物兵器となり得ます。

標的は主要穀物から国民の健康まで

1.主要穀物への壊滅的な脅威:

    イネいもち病菌(Magnaporthe oryzae:イネの収量に壊滅的な打撃を与え、米を主食とする地域では飢餓に直結する脅威です。

    コムギさび病菌(Puccinia属):感染力が強く、世界のコムギ生産に大きな脅威を与え、パンの供給を不安定にさせます。

    2.毒物と歴史的な兵器:

      麦角菌(Claviceps purpurea:ライ麦などに寄生し、生成する麦角アルカロイドは人や家畜に痙攣や壊死を引き起こす強い毒性を持ちます。紀元前にはすでにアッシリア軍が井戸に投入して使用したという記録が残る、歴史的な生物兵器です。

      3.経済基盤を揺るがす局地的な脅威:

        サツマイモ基腐病菌:茎やイモを腐敗させ、防除が困難なため、ひとたび発生すれば地域農業に回復不能な経済的損失をもたらします。

        これらの病原体は、高い伝播力を持ち、胞子が風や汚染資材を通じて広範囲に迅速に拡散します。また、一度大規模に蔓延すると根絶が極めて困難になるため、食料供給のシステミックな崩壊と社会不安を招く「沈黙の兵器」となり得るのです。

        対岸の火事ではない日本のサプライチェーン脆弱性

        この農業テロという脅威は、決して対岸の火事ではありません。むしろ、現在の日本の農業構造は、こうした攻撃に対して警戒すべき脆弱性を露呈しています。

        日本の農業は、「高齢化」と「後継者不足」という深刻な構造的問題に直面しています。高齢化した現場では、広大な農地に対する常時監視や、不審な兆候を早期に発見する体制を維持することが困難です。さらに、増加の一途をたどる耕作放棄地は、意図的に持ち込まれた病害虫が誰にも気づかれずに繁殖するための「インキュベーター(培養器)」となりかねません。

        食料自給率の低さに加え、生産現場そのものが弱体化しているこの危機的状況でテロ攻撃を受ければ、日本の食料安全保障は回復不能なダメージを負うでしょう。農業は国防であるという観点から、この新たな脅威に対し、官民連携による水際対策強化と国内サプライチェーン保護のための議論が急務です。

        私たちの「食」を守るために

        今回明らかにした3つの真実は、私たちに厳しい現実を突きつけます。第一に、農地はもはや平和な生産現場ではなく、国家を揺るがす「リスク管理の最前線」となったこと。第二に、農業テロがもたらす被害は、従来のいかなる攻撃よりも深刻な複合的リスクになりうること。そして第三に、日本自身の農業が持つ脆弱性が、そのリスクを一層高めていることです。

        テロの形態は、時代とともに常に進化します。国家の安全保障を考える上で、軍事力や経済力だけでなく、「食料」という最も基本的な要素、すなわち「農業」から見直さなければならない時代が訪れたのです。

        国家安全保障の最前線は、もはや国境線だけではありません。それは全ての農地、全ての食料品店にまで広がっています。我々の食料供給網が修復不可能なダメージを負う前に、先見の明と政治的・企業的な意志をもって、今すぐ行動できるかが問われています。

        ※本記事および掲載図は、農業分野におけるリスク管理・食料安全保障の理解を深めるための啓発を目的として作成したものです。特定の国・組織・個人を批判または攻撃する意図は一切ありません。

        参考

        ※①アメリカ司法省 公式発表 (プレスリリース)【Chinese Nationals Charged with Conspiracy and Smuggling a Dangerous Biological Pathogen into the U.S. for their Work at a University of Michigan Laboratory】
        (ミシガン大学の研究室での活動のために危険な生物学的病原体を米国に密輸した共謀および密輸の罪で起訴された中国人

        ※②ロイター通信 【米検察が中国籍の男女2人起訴、農業テロ可能な病原菌持ち込みで

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