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2025/09/26

小泉進次郎大臣が検討する「ニュージーランドへシャインマスカット栽培権供与」が日本のブドウ農家に与える損失は計り知れない!

昨日、日本のブドウ農家さんに大きな衝撃と波紋を広げるニュースが飛び込んできました。農林水産省が、高級ブドウであるシャインマスカットの栽培権(ライセンス)をニュージーランドへ供与する方向で検討しているという報道です。(※1)

これに対し、主要産地やSNSでも批判が巻き起こりました。今回はこのシャインマスカット栽培権供与が日本にどのような影響を与えるのかを、シャインマスカットの主要産地である長野県東御市の農機具屋が詳しく解説いたします。

農水省を率いる小泉進次郎農相は、このライセンス供与は日本の貴重な品種が海外で無秩序に栽培されるのを防ぐための保護策の一環だと説明しています。しかし、この政策に対し、主要産地である山梨県から「到底容認できない」という強い抗議がなされました。(※1)

私たち唐沢農機サービスは、日頃からシャインマスカットを手がけるブドウ農家さんをはじめ、多くの農家のお客様に支えられています。地元東御市でも、毎年「巨峰の王国まつり」が盛大に開催されたり、お店には、はじけんばかりに大きく実ったシャインマスカットや巨峰がぎっしりと並ぶのを目にします。私自身、旬の果物を味わう特別な時間を大切にしていますが、だからこそ、この政策が日本の生産者に及ぼす深刻な影響について、深く考察する必要があると感じています。

農水省が今回、ライセンス供与という手段を検討する背景には、日本が過去に経験した品種流出という非常に苦い歴史があります。

シャインマスカットは、農研機構が約30年もの歳月をかけて開発した、まさに日本の農業技術の結晶です。皮ごと食べられ、種がなく、香り高いこのブドウは、国産ブランドの旗手となるはずでした。しかし、開発当時は海外での品種登録が行われていなかったため、苗木が中国や韓国に無断で流出し、広範囲で栽培される事態となりました。(※4)

その結果、農水省の試算では、品種育成者が本来得られたはずのロイヤリティ(許諾料)の観点から、日本側の経済損失は年間100億円以上に上るとされています。

同様の事例はイチゴでも起こっています。かつて日本の章姫(あきひめ)やレッドパールの種苗が韓国に流出し、現地で栽培が広まった結果、韓国ではこれらの品種を親とする「ソルヒャン(雪香)」などの新品種が開発されました。これにより、日本は5年間で約220億円もの経済的損失を被ったと試算されています。(※ 6)

国は、このような事態を防ぎ、正式なライセンスによって国際的な監視体制を整え、周年供給によるマーケットの確保と品種の質や競争環境を守ることを目指しているとのことです。

国の「品種保護」という建前は理解できるものの、なぜ山梨県や国内の生産地はこれほど強く反発しているのでしょうか。それは、対等な競争条件が整っていない中でのライセンス供与が、私たち生産者に二重の脅威をもたらすからです。

脅威1: 市場価格下落とブランド価値の希薄化

農水省は、ニュージーランドへのライセンス供与は「日本の生産者の輸出先と競合しない市場の開拓を想定している」と説明しています。(※1)

しかし、一度海外で合法的に生産が始まれば、その後の流通はコントロールが難しくなるのが現実ではないでしょうか。ニュージーランド産シャインマスカットの生産量が増加すれば、将来的には安価な海外産が国内市場や既存の輸出市場に流れ込み、価格の競合を引き起こすリスクがあります。

この点は、私たち消費者も特に気になるところです。私たちが「高くても品質が良いから」と信頼して購入している「日本のシャインマスカット」というブランド価値が、価格競争によって傷つけられるのではないかという懸念は、決して杞憂とは言えません。

脅威2: 輸出障壁という「手枷足枷(てかせあしかせ)」

山梨県の長崎知事が小泉農相に強く訴えたのは、「輸出ができなければ対等な競争すらできない」という切実な現実です。

現在、国産シャインマスカットの輸出には、相手国の植物検疫や貿易協定などの大きな障壁があり、一向に進んでいないのが現状です。(※1, 3)

私たちの地元の農家さんが、朝早くから夜遅くまで、手間暇かけて大切に育てた最高品質のシャインマスカット。本来は、その努力に見合った価格で海外市場に打って出るべきはずです。

それなのに、検疫で輸出ができないという足枷をはめられた状態で、海外の生産者にはライセンスを与えて合法的に自由に輸出・販売させてあげるという政策は、国内の農家さんから見れば、まさに「どこを向いて仕事をされているのか」と言いたくなる気持ちは痛いほど理解できます。

これは、競技場のスタートラインに立ったまま、「あなたたちはまだ走れませんが、向こうの選手には特別に先に走る許可を与えます」と言われているようなものです。フェアな競争とは到底言えません。

今回のライセンス供与検討が実行された場合の日本側への具体的な損害額(損失額)について、現時点で農水省などから公式な試算は発表されていません。しかし、損害の性質は過去の流出とは異なります。

1.ロイヤリティ収入の発生: 過去の流出と違い、正式な契約に基づく供与であれば、ロイヤリティ収入が日本側に入るため、過去のような許諾料の逸失による損失(年間100億円など)は発生しないと考えられます。

    2.実質的な損害は「機会損失」: 日本の生産者が最も懸念し、損害につながる可能性があるのは、上記の「脅威1」で述べたような、輸出市場における競合による機会損失です。NZ産が、日本産が狙う市場を奪うことで、本来得られたはずの輸出利益が失われることが、実質的な経済的打撃となる可能性が高いと考えられます。

      つまり、金銭的なロイヤリティは入るかもしれませんが、国内農家さんの努力が報われるべき輸出の機会が失われるという、非常に深刻な見えない損害につながりかねないのです。

      シャインマスカットをはじめ、日本の高級フルーツが国際的に高い評価を得ているのは、国や研究機関だけでなく、なにより長年にわたる現場の農家さんの地道な努力の賜物です。私たちが事業を通じて日々接している地元のブドウ農家さんも、気候変動や世界情勢の不安定さに立ち向かいながら、最高の品質を追求し続けています。

      今回のライセンス供与の検討に対して、SNSでは「農家の努力を何だと思っているのか」「なぜ海外ばかりに目を向けた政策を続けるのか」といった厳しい批判が支持を集めています。これは、多くの人々が日本の農業の未来を憂い、生産者さんの気持ちに共感している証拠ではないでしょうか。

      小泉農相は山梨県知事に対し、「産地の理解が得られない状況の中では今後の海外許諾は進めることはない」と応じたとのことです。(※1, 3)

      この言葉は、私たち日本の農業関係者にとって、非常に重い約束だと受け止めるべきでしょう。

      今回のシャインマスカットの件を受け、国に強く求めることとは

      1.輸出体制の「競争環境」整備の最優先
      ニュージーランドへのライセンス供与を一時保留し、まずは山梨県や私たち東御市を含む主要産地がベトナムなどの成長市場で「国際市場で正当に競い合える」よう、植物検疫や輸出条件の整備を最優先で加速すべきです。(※3)

      2.国産ブランドの「防御力」強化
      輸出が本格化するまでの間、国産シャインマスカットの品質と安全性を前面に打ち出す活動を一層強化し、不正な海外産との明確な差別化を図る必要があります。

        ライセンス供与による管理された流出が、無秩序な流出を防ぐ唯一の手段であるならば、それは必要な措置かもしれません。しかし、その措置が国内の生産者を犠牲にする形であっては、本末転倒です。

        日本のブドウ農家さんが、正々堂々と世界市場で戦える同じ土俵が整ったとき、初めて国は胸を張ってライセンス供与という手段に踏み出すべきではないでしょうか。私たちは、地域農業を支える立場として、今後もこの問題の行方を注視してまいります。

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