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ハズれた【7月5日、日本滅亡説】より現実的?―農業人口中央値 75 歳が突きつける深刻な未来

先週まで一部で話題となっていた「7月5日、日本滅亡」という予言。SNSや動画で大いに拡散され、航空会社の減便や外国人観光客のキャンセル、さらには鹿児島県トカラ列島近海で発生した群発地震までが「予兆では」と憶測を呼びました。
我が家でも小学生の子どもが学校でこの話題を耳にしたようで、「もし何かが起きるならお休みの日じゃなくて月曜日にしてほしかった」と妙な方向に嘆いていましたが、幸い、何ごとも起きませんでした。
この“日本滅亡説 7・5予言”は結局、杞憂に終わりました。しかしながら、非現実的な予言が注目される一方で、実際には、もっと深刻で静かに進行する“現実の日本の危機”が存在します。
それが、「農業人口の高齢化」という問題です。
実はこの問題も「 7 5 」という数字が象徴的です。
それは、農業従事者の中央値が75歳に迫っているという現実です。
農業人口「中央値75歳」という衝撃
2021年時点で、日本の農業従事者の平均年齢は67.9歳(農林水産省「農業構造動態調査」)。若手の新規参入が伸び悩み、高齢の方が引き続き第一線に立ち続ける今、2025年時点では平均年齢が70歳を超えていると見られます。
実際、マーケティング評論家の永江一石氏は、過去の年齢分布がそのまま高齢化とともにスライドしている実態をふまえ、「中央値はすでに75歳を超えている可能性が高い」と指摘しています(※1)。
平均年齢は一部の若年層によって数値が下がりやすいため、実態をより正確に捉えるには中央値を見ることが重要です。そう考えると、「農業人口の中央値75歳」という表現も、あながち誇張ではないのかもしれません。

進まぬスマート農業と農地集約の壁
こうした深刻な高齢化と人手不足に対する打開策として、スマート農業と農地の集約化が注目されています。
スマート農業とは、AI・IoT・ロボット・ビッグデータなどの先端技術を活用し、作業の省力化や生産性の向上を目指す取り組みです。具体的には、ドローンによる農薬散布やAIによる病害虫の予測、センサーによる土壌モニタリング、ロボットによる収穫作業などが挙げられます。これにより労働時間や生産コストの削減、品質の安定供給、環境負荷の低減が期待されています。
一方で、分散した農地を集約して大規模化する「農地集約」も重要です。これにより、大型機械やスマート技術の導入が可能になり、作業効率と収益性が大幅に改善されます。
両者は相乗効果を生み、持続可能な農業の実現に寄与する基盤とされています。
しかしながら、こうした取り組みの普及にはいくつかの課題も存在します。
■ スマート農業は初期費用や維持費が高く、技術習得や通信環境整備、データ管理体制などのハードルがあります。
■ 農地集約についても、地権者間の合意形成や区画整理に伴うコスト、農地法による制約が進展を妨げています。
■ 多くの地域では農地集積・集約化への意識そのものが十分とは言えず、人材育成や担い手確保の課題も重なります。
こうした背景のもと、国は2026年までに全国で地域計画(地域農業の将来像)を策定する方針を示していますが、現場ではその実現にはなお時間がかかるという声も多く、早期実現の道のりは平坦ではありません。
「食」を支える人がいない未来は、現実になりつつある
農業の担い手がいなければ、当然ながら耕作できる土地は減少し、国内生産量も低下します。
日本の食料自給率(カロリーベース)は2022年度で38%。さらに、種子・肥料・飼料といった重要な農業資材の多くも海外に依存しており、国際的な緊張や物流の混乱があれば、国内の食料供給体制は一気に不安定化します。
このような現実を踏まえ、「資材の自給率を加味すれば、実質的な食料自給率は10%程度にすぎないのでは」と指摘する声もあります(※2)。
一見38%とされる数値も、実は非常に脆弱な基盤の上に成り立っていることが分かります。
「農業の担い手がいない」という構造的な問題は、予想よりもはるかに深刻で、かつ確実に進行している“未来の危機”です。
なぜ若手が続かないのか
40代以下の世代で、農業に夢や希望を持って始めた方が多くいます。しかし、続かない。理由は明確です。
■ 所得の不安定さ
天候、価格、市場変動……農業は安定した収入を得るのが難しい業種です。農協中心の流通構造も変革が必要です。子どもを育て、教育費を払い、家のローンを抱えながら農業を続けるには、よほどの覚悟と支援が必要です。
■ 経営リスクを背負う負担
機械購入、資材費の高騰、担い手不足など、農業経営には大きな初期投資と継続的なリスクが伴います。農業法人に就職する道もありますが、給与水準が地域平均以下の場合も多く、長期的なキャリア形成の場として選ばれにくいのが現状です。
■ 孤立と制度の壁
農地の確保、助成金申請、農協との関係など、地域や制度の“慣習”に馴染めず、精神的にも孤立する若手農家が少なくありません。
このままでは「農業が消える」
平均ではなく中央値が75歳ということは、若手があまりにも少ないという証拠。
今後5年、10年でこの方たちが一線を退いた時、農業の現場を引き継ぐ人がいなければ、「耕作そのものができない地域」が確実に増えていきます。
極端に聞こえるかもしれませんが、“日本の農業が消える”ことは、“日本の国土が荒れる”ことを意味します。
地元産の野菜が手に入らず、海外からの高騰した食材に頼る暮らしが当たり前になる時代。
しかしそれは安定した国際環境があってこそ成立するもの。
勃発する世界有事でシーレーン破壊が危ぶまれる今は果たして……。
海外からの物流が停止したら「世界で最も餓死者が出るのが日本」との試算も(※3)。
これこそが、静かに進行する“日本滅亡”ではないでしょうか。
農業を守るカギ①:所得補償制度の充実
もっとも即効性があり、心理的ハードルを下げられるのが「所得補償制度」の見直しです。
欧米に比べると低いと指摘されている日本の農家への所得補償。
欧米では農家の所得の90%以上が補助金で賄われるのに対し、日本では約15~30%程度にとどまるとの意見があります。
とくに農業を始めたばかりの数年こそ、収益が不安定です。これを「ゼロにしない」「最低生活は担保する」仕組みを強化すること。
そして「食糧は国防」の前提のもと、最重要でありながら天候に左右される厳しい職業だからこそ、制度的な安定が、離農の抑制にもつながると考えられます。
農業を守るカギ②:企業の農業参入を後押し
企業の農業参入の推進も、重要な柱のひとつです。
もちろん、まずは所得補償制度を整え、農家が安心して営農できる環境を整えることが先決ですが、安定した雇用の提供が実現可能な企業による農業新規参入も、農業を守る手段の一つといえます。
現行制度では、企業が農地を取得したり、農業に関与したりするには多くの制限があります。
技術やノウハウの導入、効率的な販路の確保、安定した雇用の提供といった面で、企業の参入は地域農業に新たな息吹をもたらす可能性があります。
もちろん、企業の参入には地域と共生する姿勢が求められます。
持続可能な農業を共に支えるパートナーとして、信頼関係を築くことが不可欠です。
農家、とくに若手農家がいなければ日本の食は続かない
私は子どもを持つ親として、これからの日本で「安全な食」が当たり前でなくなる日がくるのかもしれないという不安を抱えています。
“7月5日の大災害”は結局起こりませんでした。
でも、“中央値75歳の日本の農業があと10年で消える”かもしれないという未来は、まさに私たちの足元で起こっている大災害級懸念事項です。
国や自治体、企業、そして私たち消費者一人ひとりが、“農業を守る”ことを他人事にせず、「若手が続けられる農業とは何か」を一緒に考えていくこと。
それが、日本の未来を守ることにつながると信じています。
※1 Agora 日本の農業人口の中央値は75歳:もう自給率と言ってる場合ではないより
※2 日本共産党2024年「農業・農村政策」より
※3 (全労連)日本の食糧安全保障の崩壊と食糧・農業聞きの本質より
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